デジタル時代の到来とともに、企業のマーケティング戦略は大きな変革を迎えています。
その中心にあるのが、動画コンテンツです。
静止画や文字だけでは伝えきれない魅力を、動画は簡単に表現することができます。
今の時代は撮影機材や編集ツールの一般化、SNSなどの動画プラットフォームの台頭により、誰もが手軽に動画を制作してアップロードできる時代です。
しかし、効果的な動画を制作するためには、単にカメラを向けて撮影するだけでは不十分です。
動画が溢れているこの時代において、視聴者の感情を動かしたり行動に促したりする動画を制作するには綿密な計画と準備が必要不可欠なのです。
今回は、動画制作を始める前に押さえておくべき4つの重要なステップについてご紹介します。
基本的なことではありますが、これらのステップを踏むことであなたの動画制作プロジェクトの成功率を大幅に高めることができるでしょう。
■目的を明確にする:Why(なぜ)を定義する
動画制作の第一歩は、その目的を明確にすることです。なぜこの動画を作るのか、何を達成したいのかを明確にしましょう。
目的があって初めて「何を作ろう?」「どんなふうに撮影しよう?」という話ができるようになります。
例えば動画制作の目的には以下のような例が挙げられます。
- ブランド認知度の向上
- 商品・サービスの詳細な説明
- リードの獲得
- 顧客の教育・啓蒙
- 売上の増加
目的が明確になれば、それに沿った内容や表現方法を選択できるようになります。
例えば、ブランド認知度の向上が目的なら、企業の理念や価値観を印象的に伝える内容が適しているでしょう。
また動画制作を依頼する側と制作する側で、「そもそも何のためにこの動画を制作するのか?」という目的を共有しておくことは必須です。
動画制作は中長期に渡って制作されるケースが多く、工程が進んでいくと当初の目的から外れてしまうことも少なくありません。
目的やゴールに沿った動画を制作することにおいて、依頼側と制作側で当初の目的を共有しておくことも非常に大切なことです。
■ターゲットを絞り込む:Who(誰に)を設定する
次に、動画のターゲットオーディエンスを明確にします。
年齢、性別、職業、興味関心など、できるだけ具体的に定義しておくと、動画の企画や構成もより具体的に定まりやすくなります。
例えば以下の通り。
- 30代〜40代の働く女性
- 技術革新に関心の高い企業のIT部門担当者
- 健康志向の強い50代以上の男性
ターゲットが明確になれば、そのペルソナに合わせた内容や表現、使用する言葉遣いなどを選択できます。
例えば、若者向けならカジュアルな口調で、ビジネスパーソン向けなら専門用語を交えた説明が効果的かもしれません。
また場合によっては、なかなか具体的なターゲットを想定するのが難しいケースもあるかと思います。
その場合は企業や商品・サービスに対して「すでに興味を持っている方(顕在層)」をターゲットにするのか?「まだあまり興味を持っていない方(潜在層)」をターゲットにするのか?を明確にしておくだけでも、動画の企画や構成の方向性が定まりやすくなります。
ターゲットの悩みや課題を深掘りし、それに対するソリューションを提供する形で動画を構成すると、より効果的な内容になります。
■適切な媒体を選択する:Where(どこで)を決める
動画の公開先を決めることも重要です。
YouTubeやSNS、自社サイトなど様々な選択肢がありますが、目的とターゲットによって媒体との相性を変わってきます。
例えばSNSにおいては以下のような特性があります。
- YouTube:世界第2位の検索エンジンとしての機能も持ち、長尺の詳細な説明動画に適している
- Instagram:短尺で視覚的なインパクトのある動画に適している
- X(旧Twitter):リアルタイム性や情報拡散力が高く、時事的な内容や速報に強い
- TikTok:10~20代の若者層が多い、コンテンツの幅が広くバズりやすい
- Facebook:中高年層が多く、ビジネスでの活用が多い
媒体によって適した動画の長さや形式が異なるため、早い段階で決めておくことも重要です。
PR動画の場合、SNS以外にも以下のような媒体を使用することが多くあります。
- 自社サイト
- テレビCM
- 店頭ビジョン
- WEB広告
- SNS広告
- ダイレクトメール
- LINE
- その他
目的やターゲットを明確にした上で、様々な可能性を考えて配信する媒体を決めていくことが重要です。
また、複数の媒体で展開する場合、それぞれの特性に合わせて同じ内容を異なる形式で制作することも検討しましょう。
■魅力的なテーマを設定する:What(何を)を企画する
最後に、動画全体を貫くテーマや主要メッセージを決定します。
目的やターゲットが明確に定まっていたとしても魅力的なテーマの動画になっていなければ視聴者に伝わりません。
視聴者の心に響く、印象的なテーマを設定することが重要です。
例えば動画のテーマとしては以下のような例が挙げられます。
- 「3分で分かる!当社の革新的技術」
- 「お客様の声から生まれた新商品ストーリー」
- 「SDGsへの取り組み:私たちにできること」
テーマが決まれば、それに沿ったストーリー展開や映像表現を考えやすくなります。例えば、「お客様の声」がテーマなら、実際の顧客インタビューを中心に構成するなどの工夫ができます。
テーマを決める上で大切なポイントが「具体的にすること」「1つに絞ること」の2つです。
革新的であればどう革新的なのか?どうして革新的なのか?など、より具体的にしていくことでより伝わりやすい内容になっていきます。
また、伝えたいことを考えていくとどうしても多くの伝えたいことが出てくると思います。
だからといってあれもこれも動画に詰め込んでしまうと、結局何を伝えたい動画なのか分からなくなってしまいます。
特に何が良いと思ってもらいたいのか?何を一番伝えたいのか?など情報を整理することが重要になります。
競合他社の動画も研究し、差別化できるテーマを探しましょう。
また、シリーズ化を前提にテーマを考えると、継続的な動画制作がしやすくなります。
動画マーケティングの成功は、制作開始前の綿密な計画にかかっています。
目的、ターゲット、媒体、テーマという4つの要素を明確に定義することで、はじめて効果的で魅力的な動画を制作することができるのです。
基本的なことではありますが、この4つのステップを実践することであなたの企業の魅力を最大限に引き出す素晴らしい動画が制作できるはずです。
動画マーケティングの可能性を存分に活用し、ビジネスの成功につなげてください!