あなたは「デザイン」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?
色や形を作ることでしょうか?

実は、色や形を作るといったデザインの一般的なイメージはあくまで氷山の一角であり、その本質はもっと深いところにあります。

日本デザイン振興会の調査によると、デザイン活用企業の87%が「経営課題の解決に効果があった」と回答しています。
デザインは単なる見た目の問題ではなく、ビジネスの成功に直結する重要な要素なのです。

■この記事で学べること:

  • デザインの本質と広義の意味
  • デザインによる視覚情報の優位性
  • デザインのはじめの一歩

1. デザインは決して難しいものではない

あなたはデザインにどのようなイメージを持っているでしょうか?
デザインにあまり触れたことのない人であれば「センスが必要」「天才的なひらめき」「非論理的で難しいもの」といったイメージを抱いている人も少なくないはずです。
こういうイメージを持っている方々はおそらくデザインを表層的な部分で捉えてしまっているのだと思います。

もっとデザインをシンプルに考えてみましょう。

例えば、「クールで賢い」というイメージを色で表現すると何色が思い浮かぶでしょうか?
そうです、「青」ですよね!

では「情熱的」なイメージはどうでしょうか?
ほぼすべての方が「赤」を思い浮かべると思います。

色だけでなく形についても同様です。
例えば「優しい」というイメージは柔らかい「円」で、「安定感」というイメージは「四角形」で表現することがきるのです。

このように考えるとデザインの本質は単に見た目を整えることではないということが分かってくると思います。
そう、「デザインとは伝えたいことを可視化する技術」なのです。

デザインとは伝えたいことを可視化する技術

2. デザインによる視覚情報の優位性

では、デザインを活用することで具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

例えば、通訳は日本語を英語に翻訳しますよね。
それと同様にデザイナーは日本語を「視覚言語」に翻訳すると考えると分かりやすいかもしれません。

耳で聞いた内容を3日後に記憶している割合はわずか10%と言われています。
一方、目で見た内容は35%も記憶に残っています。
この3.5倍という差は、視覚情報の優位性を如実に示しています。

またマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究では、脳が画像を理解・処理するのにわずか13ミリ秒しかかからないことが分かっています。
一方、ケンブリッジ大学の研究では、文字を理解・処理するのに200ミリ秒かかるとされています。
つまり、文章より画像のほうが約15倍も早く理解・処理できる。

このような統計データからも視覚情報がいかに効果的なのかが分かります。

デザインとは、伝えたいことを可視化する技術

3.デザインは伝えたいことを明確にすることから

ここまで「デザインは伝えたいことを可視化する技術」であると解説してきましたが、いくら色や形として具体化する技術力が優れていたとしても伝えたいことそのものが明確になっていなければ、デザインとしての機能は十分に発揮することができません。

例えば、ある製品のパッケージデザインを考える際、単に「かっこいい」デザインを目指すのではなく、まずは「その商品の一番の魅力は何か?」「他の商品との大きな違いは何か?」など消費者に何を伝えたいかを明確にする必要があります。
その明確になった伝えたいことをデザイナーと共有することが、デザインを通して目的やゴールを達成するために極めて大切なことなのです。

例えば、「赤」から連想される形をしたデザインを思い浮かべてください。
おそらく「りんご」「ポスト」「消防車」など日常の中に存在するありとあらゆる赤いものが思い浮かぶかと思います。

しかし、そこに「食べられる丸いもの」というより具体的な条件を付けくわえたらどうでしょうか?
この中からだと一発で「りんご」に限定されますよね。

このように伝えたいことがより明確で具体的であればあるほど、相手の頭の中にはより具体的なイメージが浮かぶのです。

そもそも伝えたいことが明確になっていなければ、いくら色や形が綺麗に整っていたとしても表面上だけのデザインになってしまい、消費者の感情を動かしたり行動を促したりすることは決してできないでしょう。

あなたが何か広告やパッケージに惹かれて商品を買ったことを思い出してください。
もちろんビジュアルが整っているという理由もあったかと思いますが、そこにはその時の自分が求めていた情報や知りたかった情報などが詰め込まれていたはずです。

伝えたいことを明確にすることがデザインの第一歩であり、デザインの大切な工程の一つ。

■まとめ:デザインの視点を経営やプロジェクトに取り入れる

デザインの本質を理解することで、ビジネスをより効果的に展開することができます。
デザインの力を最大限に活用するためには、デザイナーではなくてもデザインの思考法や視点を理解してどのように自身の経営やプロジェクトに取り入れられるか考えていく必要があります。

問題解決の視点、ユーザー中心の思考、組織全体での取り組み、継続的な改善など、これらの要素を意識しながらデザイン戦略を立てることで、より強力なメッセージを発信できるでしょう。
自社の経営や広報活動を見直し、デザインの思考や視点ををどのように取り入れられるか検討してみてはいかがでしょうか?