テクノロジーの進化や人々の価値観の変化によってデザイン業界や広告業界を取り巻く環境も大きく変わってきているこの時代。
この激変する市場で、企業やブランドはどう生き残ればよいのでしょうか?
本記事では、デザインおよび広告業界を取り巻く大きな変化と、これからの企業に必要不可欠なブランド戦略の概要を紹介します。
■この記事で学べること
- デザインおよび広告業界を取り巻く4つの大きな変化
- これからの時代に企業やブランドが取るべき3つの戦略
■デザインおよび広告業界を取り巻く4つの大きな変化
1. 発信手段の多様化
SNSやデジタルプラットフォームの急速な普及により、企業の発信手段は多様化しています。InstagramやTikTokなど新しいメディアが次々と登場したことで、消費者とのコミュニケーション方法も劇的に変化しています。
この変化によって情報発信が手軽になり、小さな企業・ブランドや個人のお店も情報発信することが可能となりました。
一方で、各メディアの特性を理解し、適切なコンテンツを制作する能力が求められるようになりました。
2. 商品・サービスの増加
グローバル化とテクノロジーの進歩により、起業のハードルが下がり、市場に溢れる商品やサービスの数は加速度的に増加しています。
消費者の選択肢が広がる一方で、企業にとっては競争が激化し、独自性の確立が急務となっています。
3. クリエイティブ制作の民主化
テクノロジーの進化はクリエイティブ制作の民主化をもたらしました。
制作ツールの一般化や生成AIの進化によって、今の時代は誰もが簡単にデザインや動画などのコンテンツを作成・発信できるようになりました。
その結果、消費者の限られた時間と注目を奪い合う激しい競争が始まっています。
4. 価値観の変化
新しい世代の価値観も少しずつ社会に浸透しつつあります。
生まれた時から、モノが豊富にある環境で育つ世代が増えてきたことで、単に所有するよりも意味を重視すると言われています。
また環境問題や社会的責任への関心も高まり、社会の中での消費者の価値観も大きく変化しています。
単に商品の機能や品質だけでなく、企業のビジョンやストーリー、社会貢献活動なども購買決定の重要な要素となっているのです。
■これからの時代に企業やブランドが取るべき3つの戦略
1. インパクトからストーリーへ:心に残るブランド体験
視覚的なインパクトだけでは、もはや消費者の心を掴むことは困難です。
短期的な目標だけでなく長期的な目線でブランド価値を高めていく重要性が高まっていることで、ブランドや商品のストーリーを効果的に伝えること、さらには共感を得られるかどうかが大切な要素になっています。
2. 独自性の可視化:ブランドアイデンティティの重要性
商品やサービスが溢れる市場で、企業の独自性を効果的に伝えることが成功の鍵となります。
消費者に「これでいい」ではなく「これがいい」と思ってもらうためには自社の商品やサービスの強みや魅力をしっかりと把握して、デザインによって分かりやすく消費者に伝える必要性があります。
他にはない独自性を可視化していくことが求められる時代です。
3. 機能的価値から情緒的価値へ:感性を刺激するブランド体験
企業価値は機能的価値と情緒的価値の2つの要素で構成されています。
現代の消費者は、商品やサービスの機能的側面だけでなく、それらが喚起する感情や体験を重視する傾向にあります。
「消費者は何を基準に購入するか判断するか?」という調査において、85%の方が商品やサービスに対する感覚や感情(感性)と答えています。商品の機能や特性を意識して購入を判断している割合はわずかに15%となっています。
このような調査からもデザイン、ストーリー、ビジョン、ミッション、社会貢献的要素など、多様な側面から情緒的価値を高めるアプローチが求められています。
■まとめ:消費者の心に響く「ブランド体験」を!
デザイン・広告業界は大きな変革期を迎えています。
多様化する発信手段、激化する競争、消費者の価値観変化という波に乗りながら、企業は新たな価値を創出することが求められています。
企業やブランドに情緒的価値が求められるようになった時代において、ストーリーテリング、ブランドアイデンティティの構築などがブランディングの核心となります。これからの企業は、単なる商品やサービスの提供者ではなく、消費者の心に響く「ブランド体験」を創出および設計していく必要があります。
まずは自社のブランド戦略を見直し、感性に訴えかける要素をどのように取り入れられるか検討してみましょう。
また、顧客との対話を深め、彼らの価値観や感性を理解することで、より共感を呼ぶブランディングが可能になります。
感性の時代に対応したブランド戦略の再構築が、これからの企業の成功を左右する鍵となるでしょう。