せっかく広報物をつくったのに、患者や求職者に伝わっていない気がする。
そんな“もどかしさ”を感じたことはありませんか?

伝える努力はしている。でも、なぜか響かない。
それは、制作のクオリティの問題ではなく、“そもそも何を伝えるべきか”が曖昧なまま進んでいるからかもしれません。

この記事では、「伝える前に必要な“気づき”」について考えてみます。

📌 この記事で得られること

  • よくある医療広報のすれ違い構造

  • クリエイティブの本質は“課題解決”より“課題発見”であること

  • 制作前に行うべき問いの立て方と、視点の持ち方

1. 伝えたはずなのに、なぜ届かない?

広報物をつくったのに反応がない──その原因は、ビジュアルの質ではないことが多いです。

「パンフレットを新調したけど見られていない」
「動画を公開しても再生されない」

それは、“何を”“誰に”伝えるかの軸がブレたまま、見た目だけを整えてしまった結果かもしれません。

伝わる広報物には、見た目以上に「視点」が必要です。
その視点が欠けていると、どんなにデザインが優れていても響きません。

2. “課題解決”より前にある“課題発見”

「広報で病院の課題を解決したい」
そうした意識を持つ担当者も増えてきました。

でも実は、その前段階──「そもそもどんな課題があるのか?」
明確に向き合っているケースは意外と少ないのです。

たとえば「人が採れない」という課題。
それは本当に広報物の問題でしょうか?
もしかすると、伝えようとしている“魅力”自体が、現場の実感とズレているのかもしれません。

課題解決の前に、課題を“見つける”視点こそがクリエイティブの出発点です。

3. “違和感”に気づくことが、制作の第一歩

私は制作に入る前に、病院スタッフの方とじっくり話をします。
その中でよく感じるのが、「違和感には気づいていても、言葉にできていない」という現場の空気です。

たとえば──
・患者が求めている情報と、院内で話している内容がかみ合っていない
・スタッフが無理に病院の良さを“演じて”しまっている

このような“もやっとした違和感”を見つけること。
それこそが、よい制作物へのスタートラインになります。

4. “外の人”だから気づけることがある

私はもともと理学療法士でしたが、今は外部のディレクターおよびクリエイターとして病院の広報に関わっています。

この“外の目線”だからこそ見えるものがあります。

たとえば──
・組織に染まりすぎて見えなくなった前提
・スタッフ間で共有されていない、無意識のズレ

現場の人たちが見落としがちな“日常の当たり前”に問いを立てること。
それが、広報物の本質を見つけ出すクリエイティブの力だと感じています。

5. ビジュアルより先に、視点を整える

動画も、パンフレットも、SNS投稿も。
どれも「見た目を整える」ことから始まりがちです。

でも私は思います。
伝わる広報物をつくるには、視点を整えることから始めたほうがいい。

・誰に、何を、なぜ届けたいのか?
・その言葉や表現は、相手にとって本当に意味があるのか?

その問いを持ってからデザインする。
それが、私が大切にしている広報のクリエイティブです。

◼︎今回のまとめ

「伝える前に、気づくこと」。
これが、病院の広報物を“伝わるもの”に変える最初の一歩です。

✔️  何が課題か、言葉にできていますか?
✔️  その前提は、本当に相手目線ですか?
✔️  違和感を放置していませんか?

私自身も、何度も模索しながらここに辿り着きました。
もし少しでも共感してもらえたなら、まずは「自院の課題発見」に目を向けてみてください!